ヒルトップハム

加工
Processing

“ここまで”ではなく、限りなくこだわる。

精肉加工の画像

”温故知新”の製法

製法とは、限りなく広がる「可能性」だと思います。
一般的には廃れてしまったようなやり方も、最新機器を使った科学的なアプローチも、その組み合わせ次第で「美味しく」もなり、その逆もしかりです。
私たちは試行錯誤を重ね、今の製法にたどり着きました。

「漬け込み」へのこだわり

今では、多くのお店がコストなどを理由に選ばなくなった「漬け込み」での製法。
現在では肉に対し、専用の機械を使いソミュール液を針で混入していく「インジェクション製法」で味を浸透させていきます。
これは、一度に多くの肉を加工し、均一な味を提供するために非常に有効な方法ですが、肉に対して2~5割の液を注入するため、噛み応えのある本来の肉の食感が損なわれてしまうケースが多くみられます。
ただ、肉の総量も1.2~1.5倍程度になり原価率も下がるため、安価に提供できるメリットもあります。

しかし私たちは「本当に美味しい」ものを食べてもらいたいという気持ちで、「漬け込み」で味を浸透させていきます。
少しでも漬け込み加減を間違えれば、美味しくなりませんし、スーパーで売っているような商品の値段では販売できません。
それでも、一度でいいから食べてもらいたい、そして知ってもらいたい。
「本来のハム」はこんなに素晴らしいことを。

また、肉のうまみを引き出すため氷温温度帯(-2℃)で最低2週間以上の熟成期間をおきます。
一般に使われている保存料・着色料・増量剤は一切使いません。
代わりに10種類以上のハーブ・スパイスで複雑なうまみを作ると同時に塩分を少なくし、薄味に仕上げ本来の味を確かめて頂けるよう、又健康の為に安心して食べて頂けるよう作っています。

妥協をしないこと

漬け込まれた肉は、「熱」を加え、「燻」し商品になっていきます。
その中で「焼く」という工程一つとっても、ハム・ベーコン、アイスバイン等でそれぞれ異なります。
例えば「ハム」は蒸し焼きにします。いわゆる湿熱法といわれるもので水は空気より23倍速く熱を伝えることができます。
またハムを蒸さずに作りますとぱさぱさした感じとなりおいしくありません。
逆に「ベーコン」は脂肪が多くぱさぱさ感が出ません。乾熱法で行ったほうが、味が濃縮しおいしくなります。

つまり、商品に対する最適な加工が様々あるのですが、私たちのような小さなお店が、全てこだわって商品を提供していると自負できるのは、旨さを「科学」出来る、調理機械を導入しているからです。

加工風景

科学的温度管理について

タンパク質は肉においては キーになるタンパク質は2種類があります。
ミオシン・アクチンです。
タンパク変性温度(硬くなる温度)は、ミオシン50℃・アクチン65.5℃です。
人は、ミオシンは変性するが、アクチンが変性しない温度をおいしいと感じます。
ついでに言うと、メイラード反応(人が香ばしくて美味しいと感じる温度帯)は160℃前後で起こります。

次に細菌感染の問題。
細菌の多くは4.4℃~55℃の範囲で増殖します。
それに伴い、日本の食品衛生法では肉の中心温度が63℃以上30分、もしくはそれに類する温度で作るようにと決まっています。

以上の点よりおいしいハムはピンポイントで63℃から65.5℃で焼く必要があります。
達成可能なのは、真空調理とピンポイントで温度が設定できるスチームコンベクションオーブン等特殊オーブン、温度の変わらない広い部屋という事になります。
正確な温度を得るためにヒルトップハムでは「スチームコンベクションオーブン」(スチコン)を使います。
スチコンは1℃単位で温度管理でき、湿度も0から100%まで設定できる最新式のオーブンです。

なぜこの様なオーブンが必要かといいますと、肉に含まれるたんぱく質は、50℃で変性する「ミオシン」65.5℃から変性する「アクチン」があります。
ミオシンが変性し、アクチンが変性しない状態がおいしいといわれます。
つまり50℃~65.5℃で焼くのがおいしくジューシーになります。

また国内の基準で安全性確保のため、食品衛生法ではハムを作る場合63℃30分で加熱するよう決められています。
結果、63℃から65.5℃で焼いたハムのみがジューシーでおいしくかつ安全ということになります。
これを実現するにはスチコンが必要となり、ヒルトップハムではスチコンを導入してハムの製造を行なっています。

燻製風景

そして「人の手」で燻す

ヒルトップハムでは目で見て、その日のコンディションを考えながら、昔ながらの製法で燻製しています。
そして、実はこの燻製機、オリジナルなんです。
というのも、全自動の燻製機では実現出来ない、マニュアルで微調整のできる機械で「これ」だというものがなく、無理をお願いして、作っていただきました。
この燻製機で、肉の部位や種類によって焼き時間を調整する事でおいしいヒルトップのハムが出来上がります。
最後まで妥協したくないという想いで、ヒルトップハムの商品は生まれています。